友人が離婚を決めたとき、彼女が最初に検索していたのは「離婚 手当」という言葉だった。役所にはいろいろな支援制度があるらしいと聞いたことはあっても、名前も窓口も一つひとつバラバラで、結局どこに何を聞けばいいのか分からない、というのが本音だったと思う。ここでは、ひとり親家庭が使える代表的な公的支援制度を、大まかな全体像として整理しておきたい。金額や条件は制度改正や自治体ごとの運用で変わるので、あくまで「こういう制度がある」という入り口として読んでもらえたらと思う。
児童扶養手当:ひとり親支援の中心的な制度
児童扶養手当は、離婚などによってひとり親になった家庭に対して、子どもが18歳になった年度末まで(障害がある場合は20歳未満まで)支給される国の手当だ。月額は子どもの人数や所得に応じて段階的に決まり、子ども1人の場合で見ると、全部支給ではおおよそ月4万円台、所得に応じた一部支給ではそれより少ない金額になる。2人目以降は加算があり、加算額も所得によって変わる。
受給できるかどうか、いくら支給されるかは、申請者本人の所得だけでなく、同居している祖父母などの扶養義務者や配偶者の所得も審査の対象になる。所得制限の限度額は扶養している親族の人数によって変わり、また物価の動きに応じて毎年度見直されることがあるため、正確な金額は必ずお住まいの市区町村の窓口で最新の早見表を確認してほしい。申請には預金通帳、マイナンバー確認書類、本人確認書類などが必要で、窓口によっては郵送での手続きに対応している場合もある。
「児童手当」とは別物、養育費とも関係がある
紛らわしいのが「児童手当」との違いだ。児童手当は所得の高低にかかわらず子育て世帯全般に支給される制度で、ひとり親かどうかは関係ない。一方の児童扶養手当は、ひとり親家庭を対象とした所得制限つきの制度で、まったく別の仕組みとして運用されている。
もう一つ意外と知られていないのが、養育費と児童扶養手当の関係だ。児童扶養手当の所得を計算する際には、受け取っている養育費の8割相当額が所得に加算される。つまり、養育費をきちんと受け取れるようになると、その分、児童扶養手当の所得判定上は所得が増えたとみなされ、手当額が減ったり、支給対象から外れたりする可能性がある。逆に児童手当や児童扶養手当を受け取っていること自体は、養育費の金額を計算するときの「収入」には含めないという整理になっている。この関係は見落としがちなので、養育費の金額を決めるときや、児童扶養手当の申請をするときに、窓口で一度確認しておくと安心だ。
ひとり親家庭等医療費助成:通院・入院の負担を軽くする
児童扶養手当の受給者を中心に、多くの自治体では「ひとり親家庭等医療費助成」という制度が用意されている。医療機関にかかったときの自己負担分の一部、あるいは全部を自治体が助成してくれるもので、対象年齢や助成範囲、所得制限は自治体によってかなり差がある。子どもの通院が多い時期は特にありがたい制度なので、児童扶養手当の手続きと合わせて、同じ窓口で確認しておくと二度手間にならずに済む。
資格取得やスキルアップを後押しする給付金
「これから手に職をつけたい」というひとり親を支援する制度として、こども家庭庁が全国の自治体を通じて実施している「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」がある。前者は、対象となる講座を受講・修了した場合に受講費用の一部が支給される制度で、資格試験の受験料や短期の講座にも使えるケースがある。後者は、看護師や保育士など、就業に有利な資格を取得するために1年以上(制度によっては6か月以上)のカリキュラムを持つ養成機関に通う場合に、在学中の生活を支える給付金と、修了後の給付金が段階的に支給される仕組みだ。いずれも児童扶養手当の受給者かそれに準じる所得水準であることが対象要件になっていることが多い。
自治体独自の支援も意外と多い
国の制度以外にも、自治体によっては公共交通機関の割引乗車券、上下水道料金の減免、粗大ごみ処理手数料の免除、就学援助や学用品費の補助など、独自の支援策を設けているところがある。友人の住む自治体では、市バスの特別乗車券と、就学援助の申請案内をひとり親家庭の相談窓口でまとめて教えてもらえたそうだ。制度の名称も対象条件も自治体ごとに違うので、「うちの市には何があるんだろう」という視点で、一度まとめて窓口に聞いてみる価値はあると思う。
まずは窓口で「まとめて聞く」のがいちばん早い
これらの制度は、子育て支援課、福祉事務所、こども家庭センターなど、自治体によって担当窓口の名前が異なる。どこに何があるか調べるだけで疲れてしまう、という声もよく聞くが、多くの自治体では、ひとり親家庭向けの支援を一覧にした案内リーフレットやパンフレットを用意している。まずは電話一本でもいいので、「ひとり親家庭の支援について教えてほしい」と伝えて、使える制度をまとめて教えてもらうのが遠回りに見えて一番早い。具体的な金額や所得制限、必要書類については、この記事の内容だけで判断せず、必ずお住まいの自治体の窓口で最新の情報を確認してほしい。

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